一直線女子の映画向上会

国内や海外を問わず映画界の問題点や向上改善に迫っていく次世代型映画ブログ

千恵蔵御大VS天皇20年ぶり再会 歴代名場面「遠山桜」初形成VS幻の吉川文学珍映画

 

 

 

 

映画を極めろ一直線女子 映画概念 時代劇六大スター&七剣聖&日活三大スター&大映四大スター&両御大体制の禁断のオモテ公開いたしました。

 

 

 

今回の上記リンク先の記事は、長谷川一夫高田浩吉坂東好太郎、松竹下加茂三羽烏、下加茂、上原謙佐分利信佐野周二、松竹三羽烏、ギネス記録、三大喜劇王チャップリン、ロイド、キートン、日本の三大喜劇王エノケン、ロッパ、キンゴロウ、四天王、極東の三羽烏、極東映画、雲井龍之介、市川寿三郎、綾小路絃三郎、松竹の三羽烏三羽烏

 

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鶴田浩二高倉健中村錦之助大川橋蔵石原裕次郎小林旭市川雷蔵勝新太郎東映二大スター体制、日本映画年間観客動員1位、両御大体制など、実に多彩に登場しています。

 

 

 

今回のこのウラ側記事はさらに美空ひばり天皇の続きを予定していましたが、このことを取り上げるにはやはりこの部分が必要不可欠だと感じ、今回の記事は下記のエピソードが先となりました。

 

 

「千恵蔵御大VS天皇20年ぶり再会 歴代名場面「遠山桜」初形成VS幻の吉川文学珍映画」のスタートです。

 

 

 この記事の前記事 ↓

eiga-ityokusen-jyosi-tubuyaki.hatenablog.com

 

 

 

天皇東映の縁はやはりあの大御大が作った

 

映画界の天皇こと、巨匠渡辺邦男東映の縁は、東映の前身である東横映画時代の1950年から片岡千恵蔵市川右太衛門の両御大とのコンビからスタートしています。

 

いうまでもありませんが、千恵蔵、太衛門は戦後に東映を作っただけではなく、戦前から日本映画を代表する牽引してきた存在、多くの功績を残し、両者とも映画主演300作を越し、我が国を代表する国民的な映画の二大スターであり、今の”アニメの東映”もこの2人がいてこそ存在しています。

 

 

渡辺邦男と千恵蔵は全て主演で17作、右太衛門は14作中主演は13、助演1のコンビでした。

 

 

巨星・片岡千恵蔵(chiezokataoka)は、代名詞の一つの「遠山の金さんシリーズ」(戦前の現存含むと通算20作)の記念すべき戦後1、2や5作目、東映後は1953年の最初の千恵蔵版「大菩薩峠」3部作(のちに千恵蔵×内田吐夢版のリブート3部作が作られる好評を得た)、紀元前舞台の時代劇オールスター『日輪(1953)』、有名な題材の「南国太平記」前後作、千恵蔵による初代金田一耕助の『犬神家の謎 悪魔は踊る』、『お坊主天狗』の最初の映像化の前後作(のちの1962年に千恵蔵と巨匠佐々木康でリメイク)などの代表作を戦後のみだと1950~1955年までのコンビ

 

市川右太衛門水戸黄門の前後作、「鳴門秘帖」前後作、『旗本退屈男 謎の怪人屋敷』(旗本退屈男シリーズ通算17作目)などを代表作に1952~1954のコンビ、

 

 

 

 

千恵蔵と天皇のコンビが成功していなければ”ひばりは鳴かなかった

 

 

 

片岡千恵蔵のほうが大きな代表作が多く成功を収め、市川右太衛門は代表作がごく少数です。やはり片岡千恵蔵渡辺邦男東映の縁を明確に形成したことがわかります。これが美空ひばり渡辺邦男のコンビにも大きな影響を与えています。千恵蔵と天皇のコンビが成功していなければひばりは鳴かなかったかもしれません。

 

千恵蔵と天皇が畑を耕し、最初に野菜を育て、後からやってきてその畑を分けてもらい野菜を作ったのが一人があの美空ひばりということになります。

 

この記事の冒頭部分のリンクにもありますが、こちらで↓からも美空ひばり渡辺邦男についてに飛べます。

映画を極めろ一直線女子 映画概念 時代劇六大スター&七剣聖&日活三大スター&大映四大スター&両御大体制の禁断

 

 

ちなみに戦後の千恵蔵の遠山の金さんシリーズの1作目(戦前含めると3作目)『いれずみ判官 桜花乱舞の巻』(1950)は渡辺邦男の東横と東映を含んだ面の最初の時代劇監督作です。記念すべき作品でした。

 

 

『いれずみ判官』パンフ 片岡千恵蔵 花柳小菊 旭輝子

 

1950年公開の東横映画(現東映)の『いれずみ判官 桜花乱舞の巻』と『いれずみ判官 落花対決の巻』の貴重なパンフレットです。個人的には映画を録画済です。本作は戦後直後としては大規模なオールスター映画で、20名以上の有名俳優が出演していますが、パンフは2人が独占しており、この女優もかなりの評価をされていた大スターだったことが伺えます。

 

 

 

マスメディアがきちんと伝えるべき名女優 花柳小菊

 

 

女優は片岡千恵蔵のヒロイン女優としても有名な名女優の花柳小菊です。1930年代の主演から戦後のヒロインメイン、1950年代の中盤から出番の少ない助演が増えていきますが、それでも重要な役柄が多く確かな信頼性や評価が伺えます。1960年代の晩年の脇役でも存在感のある演技をみせました。花柳小菊は当時でも今でも少ないですが、役幅も多彩、強さも弱さも中間色の演技がきちんとやれる数少ないスター女優です。

 

また、彼女は渡辺邦男作品の常連女優でもあり、戦前のデビュー当時は現代劇の主演が多めでしたが、戦後は時代劇中心に長年活躍しました。

 

 

 

 

名ポスター『いれずみ判官 落花対決の巻』in一般社団法人日本映画製作者連盟

 

 

 

この映画の公開当時は東横でしたが、東映グラフとなっています。しかも、『いれずみ判官 桜花乱舞の巻 落花対決の巻』となっています。これは東横から正式に東映となった1951年以降の再公開時のパンフレットかもしれません。さらにパンフの題名が『いれずみ判官 桜花乱舞の巻 落花対決の巻』となっているのは再公開時に1作として上映したのでしょう。コレクター商品の出品であり、1点ものの7,847円です。

 

 

個人的な感想ですが、「一般社団法人日本映画製作者連盟」で『いれずみ判官 落花対決の巻』のポスターを見ることができますが、これも千恵蔵の映画ポスターの中で上位で非常に好きですね。片岡千恵蔵だけが全体を独占しています。男気の力強さと確かな品格、知性が同時に漂う、さらに顔から上半身の姿や顔の定着が素晴らしく、構図と色彩のバランスまでも優れた名ポスターです。気になる方は検索して見ていただきたいものです。

 

 

 

大レジェンドコンビが形成できた明確な名場面の遠山桜

 

 

 

実はこの作品の特に2作目『いれずみ判官 落花対決の巻』(1950)で初めて、あの遠山桜が描かれました。その後、テレビなどでこの遠山桜を背中に散らせて裁きの見せ場は、2018年のTOKIO松岡昌宏の遠山の金さん『名奉行!遠山の金四郎』(2018.3放送)まで、多数のヒット作が映画やドラマで作られて2018年時点で1950年から68年、約70年ほど受け継がれています。

 

数年前の時代劇専門チャンネルのメイキングで、北大路欣也のドラマ撮影のメイキングの中で気になることがありました。監督は東映の映画やテレビ時代劇の監督としても活躍した山下耕作の実子・山下智彦です。

 

北大路欣也は時代劇の演技や雰囲気というものは、監督のみの押し付けでなく、経験のある主演の俳優は特にですが、監督と現場で話し合いながら、アイディアを出し合って作ってゆく醍醐味や面白さ、追求の深みがあると、その場でリアルタイムにもっとも良いものを拾う。これを先人もやってきたことだという趣旨を語っている場面がありましたが、この部分が強く印象に残りました。

 

このことの通り、片岡千恵蔵渡辺邦男もこれを映画の遠山桜でやっていたのだと、もちろんこれまでも十分に理解しているつもりでしたが、さらに強くする部分がありました。


遠山の金さん題材は時代劇の枠組みだけでなく、日本そのものを代表する歴代上位ベスト10に含まれる有名な題材の一つです。さすがに300作の映画が存在する忠臣蔵には及ばないと考えていますが、時代劇の幅の広さに大きく貢献、個人的には銭形平次よりも遠山の金さんを上位に選んでいます。

 

 

 

 

遠山桜 影与力嵐八九郎 (講談社文庫)

遠山桜 影与力嵐八九郎 (講談社文庫)

 

これは「遠山桜 影与力嵐八九郎」です。遠山金四郎の命を受け、江戸の治安守ることを任務とする主人公の活躍を描いた時代小説

 

 

 

 

遠山金さん最初の映画だと考えられる『遠山桜天保日記』と遠山桜の意味

 


1910年代から遠山の金さん、遠山金四郎を主人公に映画は戦前から数十存在していますが、1911年の『遠山桜天保日記』(製作=福宝堂)が最古だと考えられています。福宝堂は、『遠山桜天保日記』の公開された翌年の1912年に日活と姿を変えます。福宝堂は日活を形成する前身の映画会社4社のうちの一つとしても有名です。なんと2018年のTOKIO松岡昌宏の遠山の金さん『名奉行!遠山の金四郎』で遠山の金さんの映像作品は107年だったわけです。海外にも少ない1世紀、100年題材です。

 

遠山桜とタイトルにありますが、遠山金四郎の活躍を遠山桜と例えているだけで裁きの場面で刺青を見せる名場面はありません。


そうです。遠山桜を裁きで見せて啖呵を吐くという部分がありませんでした。レジェンド千恵蔵の製作兼役者魂と渡辺邦男の柔軟さがこの遠山桜を完成させたのです。

 

 

 

 

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あの珍映画「恋車」のおかげ 20年ぶりのコンビが成功を収めた現実

 

 


片岡千恵蔵渡辺邦男の縁は戦前に1度あります。実は東映の前身の東横の『いれずみ判官 桜花乱舞の巻』を撮影する前の1930年の『恋車 前篇』(国民作家吉川英治原作、製作=千恵蔵プロダクション、配給=日活)で一度コンビを組んでいます。

 

この作品は、大阪城落城後の豊臣家の再興の野望を抱くものと阻止する側の攻防を描いた吉川文学らしい、多数の人物の目線を取り入れた対決、群像&抗争劇です。吉川英治はこうした群像や抗争劇をもちろん宮本武蔵以外で多数書いており、多くが映画化しています。

 

千恵蔵は主人公の千石糺(せんごくただす)を演じ、ヒロインの千鳥をのちに大女優となる山田五十鈴、千恵蔵プロダクションの代表作に多数出演し活躍したヒロイン女優の吉野朝子が徳川の千姫役を演じています。巨匠伊丹万作の幻の秀作、大作『闇討渡世』(原作は有名な天保水滸伝、地獄の剣豪こと平手造酒(=千恵蔵の主演)、侠客ものの題材)にも出演しています。

 

実に20年ぶりの再会でした。渡辺邦男が1930年代の中盤に日活を飛び出してから”早くて安くて当たる映画を大量生産に成功”していたことがもっと大きいですが、1930年の一度コンビを組んでいて顔見知りだったことも、再び渡辺と千恵蔵が関わる理由だったと思われます。市川右太衛門は戦後のみの縁です。

 

『恋車 前篇』は後編が作られていない珍しい映画です。これはなぜか、何故なら吉川英治の原作「恋ぐるま」が上巻のみの出版だったからで、作られる予定の映画の後半『恋車 後篇』は必然的に作られませんでした。当時の時点で吉川英治という人気作家でもあり、脚本家や監督がオリジナルで続きを書くわけには行かず、後編が予定されていた映画で後編が作られないという、現代でもほとんどありませんが、日本映画の歴史に残るほどの非常に珍しい事態となりました。